地域のために頑張るお母ちゃん達 新しい特産品作りに込めた想い
緑に囲まれた山間に建つ廃校となった校舎の扉をあけると、中から漂う美味しい香り。
ひよこの会は大分県佐伯市宇目にある廃校を利用し、地域の栗や里芋を利用した加工品の製造を行っている宇目農林産物生産組合研究グループです。
新たな特産品作りに励む想いを、ひよこの会に伺いました。
視察旅行で抱いた決意「宇目地域にも特産品を作らなければ」
発足当初は宇目地域の一次生産者を中心に構成されたひよこの会ですが、そのきっかけは10年前に宇目農林産物直売所の生産者グループの視察旅行で宮崎県を訪れた事でした。現地の店に並ぶ地元で採れた農産物を使った数々の特産品を見て「このままじゃいけない、宇目地域にも何か特産品になるものを作らないと」と参加者が皆同じ想いを抱いたとの事。
それから間もなく地元の野菜や果物を活用したオリジナル料理の開発を行い、イベント開催時などに「ひよこの会」として出品を開始しました。しかし、なかなか商品化に至らない期間が続いたそうです。
それでも地道に活動を続けること約2年、商品案を持ち寄り試作を繰り返す中で、ひよこの会の代名詞とも言える里芋コロッケが誕生しました。
ひよこの会の作業場は廃校の旧保健室を利用し、3~4人ほどのメンバーが集まり作業している。
里芋コロッケの材料は、地元で採れる里芋や特産品である椎茸、ごぼうや人参など。
具材のみじん切りや里芋の皮むきなど全ての工程を手作業で行い、多くの方に食べて貰いやすいようにと、卵と肉は使用せず作られている。
皆で作業を分担しながら効率よく、ひとつひとつ丁寧に作っていく。
何度も辞めようと思った里芋コロッケ作り
現在の活動メンバーの多くは前会長に誘われてひよこの会に参加し、里芋コロッケの作り方を教わったそうです。非常に器用で手際の良かった前会長による熱のこもった指導は時に厳しくもあり、「もう辞めよう」と思った時もあったとか。
それでも宇目地域のために諦めず続けた事で、前会長の退任間際には「とっても上手くなった。もう私がいなくても大丈夫」と褒めていただけるほどに上達したそう。「当時の指導があったから、今こうして多くの人に喜んでもらえるコロッケを作ることが出来る」と皆さん感謝を語っていらっしゃいました。
手際よく丸められるコロッケには、お母ちゃん達の愛情と美味しさがたっぷり詰まっている。
米粉とふわふわのパン粉を使って、揚げたらサクッとした食感になるように衣を付けていく。
揚げ作業は意外にも家庭用の鍋を使い、少量ずつ丁寧に揚げていた。「この鍋の方が使い慣れているから」と軽やかに揚げていく。
製品化第一号となった里芋コロッケ。地元産の具材を使った優しい味が魅力。里芋のもっちりとした食感と、衣の香ばしさが口いっぱいに広がる。
完成した里芋コロッケを手早くパック詰めし、揚げたてを宇目農林産物直売所へ納品する。
名物となった里芋コロッケは、遠方からもファンが買いに訪れる人気商品。土曜・日曜の限定販売。
里芋コロッケの人気を受けて新たに開発した「さといもコロッケせんべい」も大人気。
里芋コロッケをプレスして作るせんべいは、コロッケの風味そのままに、香ばしくパリッとした仕上がりになっている。
これまでも、これからも、活動の根元は「宇目地域のために」
メンバーの平均年齢70歳を超えるひよこの会が精力的に活動できているのは、宇目地域のために何かしたいという想いがメンバー全員の共通認識としてあるからこそ。その想いが丁寧な作業や味、新たな創作活動の根底に表れているように感じます。
人が減っていく地域だからいろいろな課題があるけれど、いつも楽しく自分たちに出来ることを一生懸命に頑張る、元気なお母ちゃん達の活躍をこれからも応援してください。
- 2021年02月24日